Q. ドキュメント事業の抜本的強化について、その進捗と今後の取り組みを教えてください

A. ドキュメント事業は厳しい事業環境に耐え得る強固な事業基盤の構築を目指し、単に効率を求めた組織・人員の縮減ではなく、全社にわたる業務改革を行い、収益性の改善を進めています。具体的には、開発のスピードアップによる原価低減やRPAを活用した業務効率化など、現場でのさまざまな取り組みを実行しています。

 その結果、2018年度の効果金額は対計画40億円増の310億円となりました。また、一部スケジュールの見直しにより構造改革の終了を当初計画していた2019年ではなく2020年としますが、全体の費用を29億円縮減、かつ効果金額は当初予定通り550億円(対2016年度)を実現させます。

 今後は、この業務改革で構築した強靭な収益基盤のもと、成長領域であるソリューション&サービス分野、プロダクションサービス分野の売上拡大を図っていきます。まず、成長領域であるソリューション&サービス分野では、独自のAI技術、IoT・IoH技術を活用したソリューションの開発や競争力が高いクラウドサービスを有する他社との戦略的な提携を強化。製造、金融、医療、流通、公共、教育など業種別のソリューション、情報セキュリティ、文書管理などの業務別ソリューションなど多彩なソリューション・サービスを提供することで、お客さまの業務効率化、働き方改革に貢献していきます。また、プロダクションサービス分野においては、お客さまのニーズに応じた製品・サービスの投入により売上の拡大を図るとともに、印刷ワークフロー全体を対象としたサービスの提供を加速します。さらに、富士フイルムのグラフィックシステム事業部やインクジェット事業部との連携を強化し、グループシナジーを最大化させることで事業成長を図っていきます。

 これらにより、2020年度の目標であったドキュメント事業における「営業利益率10%」を1年前倒しして達成します。そして安定して得られるキャッシュを成長領域に投資し、売上の拡大も目指し、持続的に成長することができる事業基盤を確立します。
 

商業印刷向け高画質・高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」
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商業印刷向け高画質・高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」

Q. ESGへの取り組み状況を教えてください

A. 富士フイルムグループは、創業以来、CSRを経営の根幹に位置づけ、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでまいりました。そして、最高品質の商品やサービスの提供を通して、社会の発展や環境保持に貢献し、人々の生活の質のさらなる向上に寄与すること、また、“オープン、フェア、クリア”に事業に取り組むことを富士フイルムグループの企業理念・ビジョンとしています。
 2017年に、SDGsなどの社会課題解決に関する目標達成への貢献を目指したCSR計画「Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)」と、これを実現するための具体的なアクションプランとして、2019年を最終年度とする中期経営計画「VISION2019」を策定し、全社をあげて推進しています。
2019年9月には、これらの企業活動を支える従業員の健康維持増進に積極的に取り組むことなどを明記した「健康経営宣言」を制定。また、気候変動問題の解決に向けた取り組みを加速するため、TCFD※2への賛同やRE100※3への加盟など、国際的なイニシアチブにも積極的に参加し、社会に対して、富士フイルムグループの取り組みをコミットするとともに、グループ全体での活動を強力に推進していきます。
 2019年6月には、これまでのCSR部門を発展的に改組し、「ESG推進室」を設置しました。社長直下にこの組織を置き、ESGの観点を経営戦略や事業戦略に組み込み、推進を強化していきます。
 現在、次期中期経営計画の策定に向けた議論を進めていますが、同時に、「SVP2030」も社会や経営環境の変化に応じた計画へと見直しを図っていきます。
 これらの計画のもと、サステナブル社会の実現に向け、社会課題が中長期的に富士フイルムグループに与え得るリスクを認識するとともに、社会課題の解決を新たなビジネスを創出する機会ととらえ、主体的に新たな技術や製品の開発、ソリューションを提案できる強固な体制を整えていきます。
 富士フイルムグループは、株主をはじめとするステークホルダーの皆さまからの期待や信頼に応え続けることで、持続的な成長を目指していきます。

Q. 資本政策について教えてください

A. 当社では、資本効率を図る指標としてROEを採用しています。前中期経営計画「VISION2016」にROE※4目標を導入し、利益重視の方針を明確にするとともに、継続的かつ安定的な増配や積極的な自社株買いなどを通じて株主還元を実施することで、資本効率を重視する姿勢を示してきました。「VISION2016」の初年度である2014年度には5.3%だったROEを、各事業における収益性の向上などにより、2018年度には6.7%へと上昇させました。そして、現中期経営計画「VISION2019」で掲げる2020年度目標の8.0%に対しても順調に進捗させており、より一層、収益性向上に向けた取り組みを強化しています。
 また、次期中期経営計画では、さらなるROE向上を図るために、事業部門の評価指標としてROIC※5を活用し、事業ごとの成長段階(「収益力の向上」「成長を加速」「未来を創る投資」)に応じて資本効率を高めるROIC目標を設定し、全体としてのROE目標を達成できるように管理していきます。各事業でのコストダウン活動を進める一方で、今後の成長につながるM&Aや設備投資については、投資効果を厳しい目で見極めつつ積極的に行っていきます。
 さらに、資本効率の向上を目指し、管理指標としてCCC※6を活用し、キャッシュフローの管理を強化していきます。現在、M&Aを除いて年間1,400-1,500億円程度のフリーキャッシュフローを安定的に創出していますが、CCCを改善させていくことで、運転資本の削減や効果的な投資の選別によるキャッシュの創出、さらにそのキャッシュを効果的に再投資することで利益を向上させる好循環を構築していきます。

Q. 株主の皆さまへ

A. 本年が最終年度となる「VISION2019」を確実に達成するとともに、その先の持続的な成長・企業価値の向上のために、株主の皆さまとの対話を重視し、社会からの期待や信頼に応えた価値ある製品・サービスを生み出し続け、取り組みを加速させてまいります。
 富士フイルムグループの将来における発展にご期待いただき、今後とも末永いご支援を賜りますようお願い申し上げます。


 

  • 1 富士フイルム調べ
  • 2 気候変動関連財務情報開示タスクフォースの略。主要国の中央銀行や金融規制当局で構成する金融安定理事会が設置したTCFDは、2017年6月、金融市場の安定性に与える気候変動問題の影響を把握するため、民間の事業会社等に対し、気候変動に起因する「リスク」および「機会」の財務的影響を開示することを求める提言を公表。既存の財務情報開示と同様、気候変動関連財務情報を金融関係者による評価の要素とすることを推奨している。
  • 3 気候変動対策を推進する国際 NPO「The Climate Group」が、企業に環境影響の情報開示・管理を促している国際NPO「CDP」とのパートナーシップの下で運営するイニシアチブ。事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す企業で構成されている。
  • 4 Return on Equity: 自己資本利益率
  • 5 Return on Invested Capital : 投下資本利益率
  • 6 Cash Conversion Cycle: キャッシュ・コンバージョン・サイクル