2019年1月20日に、富士フイルムホールディングスは創立85周年を迎えました。
 そして日本は、5月に約30年続いた「平成」の時代から元号を「令和」へと改め、新しい時代をスタートさせています。当社も新たな時代に、改めて成長への意気込みを強くしています。
 富士フイルムグループにとって、平成の前半は技術開発と海外展開を大きく進めた時代でした。そして、平成の後半に、我々はその事業内容を大きく変化させてきました。デジタル化の進展により、当時主力製品であった写真フィルムの需要が激減しましたが、事業構造を転換させ、その危機を乗り越え、2007年度には、過去最高益を達成。そして次なる成長に向けて邁進していた矢先の2008年、世界的な経済危機の影響を受け、またも事業環境が大きく変化しました。しかし私たちは、徹底的な事業基盤の強化と重点事業の成長を推進し、危機を乗り越えるごとに強くなり、2018年度には、さらに過去最高益を更新。新たな成長に向けて、今年度最終年度を迎える中期経営計画「VISION2019」を達成すべく、邁進しています。

長期と短期、2つの課題解決で成長し続けていく

 企業は常に、新たな価値を社会に提供し続ける存在であるべきだと私は考えています。事業活動で得た利益を再投資し、より良い製品・サービスを開発するために、現業における利益の最大化が企業経営の重要な課題です。そして企業は同時に、SDGs※で掲げられているような、気候変動、貧困や飢餓の解決など国際社会全体で取り組むべき目標に対して、重要な役割を果たす存在でもあります。社会全体を、よりよく豊かに成長させていくエコシステムの一翼を担う存在として、企業自身が長期的な視野で将来への布石を打っていく必要があります。
 経済環境の変化や企業間の競争に適切に対応し、年度ごとの売上・利益計画を確実に遂行することや、技術の急速な進化を事業活動に取り込むなど、現在目の前にあってすぐに解決しなければならない短期的な課題と、将来への布石としての長期経営計画、すなわち技術開発や新規事業の創出・人材への投資といった課題に、常に並行して取り組まなければならないということです。これらの短期的・長期的な2つの課題に対するソリューションを高いレベルでバランスさせ、継続的に価値を生み出し続けることが企業経営の本質だからです。

“変化を創り出す会社”を目指して

 私は、企業が進化していく過程には、3つの段階があると考えます。まず、環境の変化に対して、素早く、適切に対応できる企業が一般的には良い企業と言われます。しかし、環境の変化に対応するだけにとどまらず、変化を予測した動きができればなお良いでしょう。そして、最も良いのは、自ら変化を創り出す企業です。
 富士フイルムグループは、21世紀の初めに直面した危機に際して、成長事業の強化と新規事業の創出によって適切に対応し、大胆に事業構造の転換を果たしました。そして、複数の事業を擁する強固なポートフォリオでさらなる成長を実現し、それぞれの市場における将来の変化を予測し、適切に手を打ってきています。
 今、我々が目指しているのは、我々が生み出す新たな価値によって、産業や社会にポジティブなインパクトを与える企業になることです。AIを活用したメディカルITシステムや再生医療の分野で、一部実現しつつあると考えますが、今後もさらに、これまで富士フイルムグループが培ってきた広範な独自技術を進化させ、AIやIoTをはじめとする新たな技術や知見も積極的に取り入れながら、さまざまな事業分野において社会にポジティブな変化を創り出していくことをお約束いたします。
 企業としての社会的責任を果たし、社会とともに豊かに成長し続けていく。人々の生活に欠かせない存在であり続けるために、日々邁進いたしますので、株主の皆さまには、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

※ 2015年9月に国連総会で採択された持続可能な開発目標。「誰一人取り残さない」をスローガンに、2030年までに国際社会が社会課題として取り組むべき17の目標と169のターゲットを定めている。

代表取締役会長・CEO
古森 重隆